2020.10.6
「佐渡島の金山」をスキャン~「佐渡を世界遺産に」に学ぶ~
その他
今年度1年次でご講義いただいた「佐渡を世界遺産にする新潟の会」講師の山田修さんから受講生の皆さんへメッセージをいただきました。
新型のコロナ禍は、世界遺産登録を目指している「佐渡島の金山」にも大きな影を落としています。令和2年夏、各国から推薦された新たな世界遺産を決定するはずだった中国でのユネスコ総会が延期され、返す刀で日本では、国内推薦を審議する予定の文化庁の世界遺産審議会も先延ばしになりました。この審議会では世界遺産国内推薦に向けた「佐渡」が審議の要に位置していたのです。う~む、と腕組みするほかありませんが、「佐渡」を再度見つめ直し島ごとスキャン(精査)する新たなステージに立っていると思っています。
●講座に寄せられた質問、疑問、意見、提言
●講座に寄せられた質問、疑問、意見、提言
シニアカレッジで世界遺産の講座を担当させていただいてから丸3年。講座では「なぜ世界遺産に立候補するのか」「仮に世界遺産になったとして佐渡のメリットは何か」「島が観光地化し佐渡らしさが失われないか」といった質問、疑問、意見、提言を頂きました。初の講座開設は平成30年で、佐渡はこの年まで4度、国内推薦に漏れていました。そのため「もう十分では。これ以上無理しなくても‥」といった声も聞こえてきた記憶があります。
●資産の名称を絞り、構成も2つに集約
●資産の名称を絞り、構成も2つに集約
講座受講者に限らず、県民からは「資産があれもこれもと総花的で散漫に過ぎる」といった意見もありました。県と佐渡市は有識者らと協議の上、資産名称の「金を中心とする佐渡鉱山の遺産群」を「佐渡島(さど)の金山」に、また構成資産を「相川金銀山 鶴子銀山 西三川砂金山」の3つから、位置的に背中合わせの相川と鶴子を一体化させ「相川鶴子金銀山 西三川砂金山」の2つに集約しました。対象の時期も戦国時代末~江戸時代に焦点を合わせ、佐渡での金生産の流れを〝手作業による金生産〟に特徴づけたのです。
●「佐渡は宝島」を守る仕組みづくり
●「佐渡は宝島」を守る仕組みづくり
佐渡は江戸時代の265年間と明治・大正・昭和のほぼ400年間に金78㌧、銀2330㌧、銅5600㌧産出してきました。千年前から続く西三川での砂金採取も含めると金銀をめぐる時の流れは壮大です。佐渡は「自然」「歴史」「文化」が浸みついた宝島、と思うのです。先日の新潟日報に大阪の人が「佐渡の金銀採掘が世界に与えた影響という史実に手ごたえを感じる。佐渡市民は登録後を見据え、価値ある遺産を守る仕組みづくりを」と投書が掲載されていました。島の内外から佐渡を俯瞰する節目なのでしょう。
(令和2年10月記)
【講義の様子】
(令和2年10月記)
【講義の様子】