2021.10.5
広がる「金」のすそ野~「佐渡を世界遺産に」に学ぶ~
その他
今年度、基礎応用課程1年次でご講義いただいた「佐渡を世界遺産にする新潟の会」講師の山田修さんから学生の皆さんへメッセージをいただきました。
(以下、原文のまま)
令和3年ほど「金」が注目された年もありませんでした。世界遺産に向けた国内推薦を今年こそ実現させる、と意気込む「佐渡島(さど)の金」はもちろん、1年遅れで始まった東京オリンピック、パラリンピックでの「金メダル」も注目の的でした。
●東京五輪のメダルは廃品回収で
東京五輪関連で製作され華やかな表彰式を飾ったメダルの数はなんと5千個。うち金32kg、銀3500kg、銅2200kgが素材と公表されています。これらは全部“国産”の金属で賄いました。といっても国内の鉱山から採掘したわけではなく、不要になった携帯電話等の回路基板をもつ機器から金属類を回収し再生したのです。私も回収に応じましたので、我が家の不要になった携帯電話数台分の金銀銅が各メダルになり、五輪にほんのちょっぴり貢献したことになります。
●地球の金は掘り尽くされるか
ところで人類はこれまで金を18万㌧採掘してきたといわれています。地球に残った金は残り5万㌧と推定されていますから、現在、中国の400㌧初め、豪州、ロシア、米国、カナダ、ペルーなど金の産出各国が年間合計3000㌧を採掘しているので、あと15年もすれば地球の金は掘り尽くされる計算になります。ところがここで注目されているのが“都市鉱山”です。
●金は「都市鉱山」から採掘する
携帯電話やパソコン、家電類には様々な金属が使われています。例えば携帯電話の廃品1㌧から金が150~280㌘回収できる、という試算があります。携帯電話1台に金0・05㌘、銀0・26㌘、銅12・6㌘が使われているというのです。日本にはこうした金を合計するとなんと6000㌧は市中に埋蔵されている、ともいいます。東京五輪では「都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト」の呼びかけで回路基板をもつ機器類の回収が行われました。
●「佐渡島」がまるまる“世界遺産”
金を取り巻くすそ野は広いです。金採掘の長い歴史を掲げ、世界遺産に名乗りを上げている「佐渡島の金」も広いすそ野があります。佐渡島の金は、これまで金が独り歩きしてきたのではなく周辺に壮大な土台がありました。佐渡が「世界農業遺産」に認定されて10年、また「日本ジオパーク」も世界遺産への強力な支えです。佐渡全島に根付く「自然」「歴史」「文化」というグラウンドを生かした“総合力”を発揮する時が来ていると思うのです。
(令和3年10月記)
【山田講師】
【講義の様子】
(以下、原文のまま)
令和3年ほど「金」が注目された年もありませんでした。世界遺産に向けた国内推薦を今年こそ実現させる、と意気込む「佐渡島(さど)の金」はもちろん、1年遅れで始まった東京オリンピック、パラリンピックでの「金メダル」も注目の的でした。
●東京五輪のメダルは廃品回収で
東京五輪関連で製作され華やかな表彰式を飾ったメダルの数はなんと5千個。うち金32kg、銀3500kg、銅2200kgが素材と公表されています。これらは全部“国産”の金属で賄いました。といっても国内の鉱山から採掘したわけではなく、不要になった携帯電話等の回路基板をもつ機器から金属類を回収し再生したのです。私も回収に応じましたので、我が家の不要になった携帯電話数台分の金銀銅が各メダルになり、五輪にほんのちょっぴり貢献したことになります。
●地球の金は掘り尽くされるか
ところで人類はこれまで金を18万㌧採掘してきたといわれています。地球に残った金は残り5万㌧と推定されていますから、現在、中国の400㌧初め、豪州、ロシア、米国、カナダ、ペルーなど金の産出各国が年間合計3000㌧を採掘しているので、あと15年もすれば地球の金は掘り尽くされる計算になります。ところがここで注目されているのが“都市鉱山”です。
●金は「都市鉱山」から採掘する
携帯電話やパソコン、家電類には様々な金属が使われています。例えば携帯電話の廃品1㌧から金が150~280㌘回収できる、という試算があります。携帯電話1台に金0・05㌘、銀0・26㌘、銅12・6㌘が使われているというのです。日本にはこうした金を合計するとなんと6000㌧は市中に埋蔵されている、ともいいます。東京五輪では「都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト」の呼びかけで回路基板をもつ機器類の回収が行われました。
●「佐渡島」がまるまる“世界遺産”
金を取り巻くすそ野は広いです。金採掘の長い歴史を掲げ、世界遺産に名乗りを上げている「佐渡島の金」も広いすそ野があります。佐渡島の金は、これまで金が独り歩きしてきたのではなく周辺に壮大な土台がありました。佐渡が「世界農業遺産」に認定されて10年、また「日本ジオパーク」も世界遺産への強力な支えです。佐渡全島に根付く「自然」「歴史」「文化」というグラウンドを生かした“総合力”を発揮する時が来ていると思うのです。
(令和3年10月記)
【山田講師】
【講義の様子】